この物理の補習を選択した皆さんは、化学が好きで化学を勉強したいと考えて
いる人達だと思います。化学を勉強したいのに「何故、物理や数学が必要なの?」
と感じている人もいるでしょう。おそらく、高校まで習ってきた化学のイメージから
「物理や数学は化学に必要ない」と感じているからだと思います。
ところで、本当に化学に物理や数学は必要ないのでしょうか?
答えは「No」です。
化学をより理解するためには物理や数学がどうしても必要となってきます。
(表1に化学に必要な物理と化学をまとめてみました。)
ただ、化学で使う物理や数学は、単に物理の公式や数学の方程式を「解く」対象
としてとらえるのではありません。物理の公式や数学の方程式が、化学では
どのような事(例えば、反応物の濃度や時間変化、量と量の関係)を表現している
かという見方をするために必要な道具なのです。この道具を上手く使いこなす
(理解する)ことによって、化学への興味や理解がグッとますはずです。
この物理の補講が「化学は好きだけど、物理や数学は嫌いだ。」
「大学に入ってから化学が難しくなった、面白くなくなった」と考えている
皆さんの、化学で使う「物理や数学」に対する難しいという考え方をなくす手助けに
なればいいと思います。 |
表1.化学に必要な物理・数学
(化学分野)
|
(物理分野)
|
(数学分野)
|
物質の状態
・物質の三態
・気液平衡
・ボイル・シャルルの法則
・気体の状態方程式 など |
熱力学分野
・気体の状態方程式
・気体の分子運動
・熱力学の法則
|
(データー解析に必要)
・グラフ
・方程式・連立方程式
・因数分解
・微分・積分
・指数関数
・対数関数
・三角関数
・統計 |
原子
・原子の構造やスペクトル
・原子核反応(放射線)
・質量エネルギー など |
力学分野
原子物理分野
・光子
・原子構造
・原子核 |
化学機械装置
・分光光度計
Lambert-Beerの法則
・光合成微生物の培養装置
・コンデンサー
・電気分解 など |
波動分野
・波動
・光波
など
電気分野
・電場&電位 など |
化学・物理・数学を学習するときに注意する必要がある基本事項
1.単位
現実の量を数式で表現するときに必要なもの。
2.ディメンジョン(次元)
ある量の単位が基本量である「長さ」「質量」「時間」をどのように含むかを
示す関係のこと。計算するときには質量を求められているのか、
時間を求められているのか、考える必要があります。
3.有効数字
信頼できる、意味のある数字のこと。
4.グラフ・図
化学実験の結果を解析するときや、化学の事象を理解する上で物理や数学を
使いますが、その際には、グラフや図を使うことによって解析・理解しやすくなり
ます。
化学・物理・数学に使うギリシャ文字の読み方と単位の接頭語
表2.ギリシャ文字とその読み方
大文字
|
小文字
|
読み方
|
大文字
|
小文字
|
読み方
|
Α
|
α
|
アルファ
|
Ν
|
ν
|
ニュー
|
Β
|
β
|
ベータ
|
Ξ
|
ξ
|
クシイ(クサイ)
|
Γ
|
γ
|
ガンマ
|
Ο
|
ο
|
オミクロン
|
Δ
|
δ
|
デルタ
|
Π
|
π
|
パイ
|
Ε
|
ε
|
イプシロン
|
Ρ
|
ρ
|
ロー
|
Ζ
|
ζ
|
ツェータ
|
Σ
|
σ
|
シグマ
|
Η
|
η
|
イータ
|
Τ
|
τ
|
タウ
|
Θ
|
θ
|
シータ
|
Φ
|
φ
|
ファイ
|
Ι
|
ι
|
イオタ
|
Χ
|
χ
|
カイ
|
Κ
|
κ
|
カッパ
|
Ψ
|
ψ
|
プサイ
|
Λ
|
λ
|
ラムダ
|
Ω
|
ω
|
オメガ
|
Μ
|
μ
|
ミュー
|
|
|
|
表3.単位の接頭語
名 称
|
記 号
|
大きさ
|
名 称
|
記 号
|
大きさ
|
テラ
ギガ
メガ
キロ
|
T
G
M
k
|
1012
109
106
103
|
ミリ
マイクロ
ナノ
ピコ
|
m
μ
n
p
|
10−3
10−6
10−9
10−12
|
|